青空と牧草地の緑の狭間に眩いばかりの白さを放つ「白い道」。この道が真っ白に輝いている最大の理由は、稚内市内で水揚げ・加工されたホタテの貝殻を細かく破砕して路面に敷き詰めているからにほかなりません。
日本有数のホタテ水揚げ量を誇る稚内市宗谷地区では、長年にわたり年間数万トン規模で発生するホタテの貝殻処理が深刻な環境・財政課題となっていました。産業廃棄物として埋め立て処分するには莫大なコストがかかり、野積みされた貝殻の悪臭や景観への悪影響が地域を悩ませていたのです。
転機が訪れたのは2011年のことでした。稚内市役所の職員や地元観光関係者が「廃棄される貝殻を有効活用し、宗谷丘陵のトレッキングコースに敷き詰めてはどうか」と発案。炭酸カルシウムを主成分とする貝殻を約2〜3センチメートル程度に細かく粉砕し、宗谷丘陵フットパスコース(全長約3kmの区間)に散布したところ、歩行時の衝撃を和らげるクッション効果に加え、降雨による路面のぬかるみ防止や土壌流出の抑制、雑草の繁茂を防ぐ効果があることが判明しました。
その後、青空と緑の丘陵、そして純白の路面が織りなす圧倒的なコントラストがSNSを中心に話題を呼び、「稚内観光の写真映えスポット」として一躍全国的な知名度を獲得。厄介者だった廃棄物が、地域の知恵とエコロジー思想によって唯一無二の観光資源へと生まれ変わったのです。