焼き鳥のメニュー表で必ず目にする砂肝ですが、その解剖学的な正体は鳥類が持つ2つの胃のうちの1つである「筋胃(きんい)」です。生物学的には「砂嚢(さのう)」とも呼ばれます。
鳥類には歯が存在しないため、摂取したエサを口の中で咀嚼することができません。その代わり、丸呑みしたエサを前胃(腺胃)で胃液と混ぜ合わせ、続く筋胃へと送り込みます。筋胃の内壁は非常に強靭な筋肉層で覆われており、鳥が自ら飲み込んだ小石や砂粒を胃の中に蓄え、強力な収縮運動によって食べ物を細かくすり潰す役割を果たしています。
「胃なのに、なぜ砂“肝”と呼ばれるのか」という疑問の背景には、日本の食文化における内臓肉の総称があります。古くから牛・豚・鶏の内臓全般を「キモ」と呼ぶ慣習があり、「砂を溜めて消化を行う内臓(キモ)」という機能的特徴から「砂肝」という名が定着しました。つまり、肝臓の機能を持つ部位ではなく、消化のための強力な筋肉の塊が砂肝の真の姿です。