ピコスルファートナトリウムを服用してから排便効果が現れるまでの時間は、添付文書の臨床データにおいて通常7〜12時間と明記されています。このタイムラグには、薬が体内で辿る特有の代謝プロセスが深く関係しています。
一般的な下剤の多くが胃や小腸で作用するのに対し、ピコスルファートナトリウムは胃や小腸ではほとんど吸収・分解されません。そのまま大腸へと到達し、大腸内に生息する腸内細菌が持つ酵素(アリルスルファターゼ)によって加水分解を受け、初めて活性本体であるジフェノール誘導体へと変換されます。
このジフェノール誘導体が大腸粘膜の副交感神経叢を刺激して蠕動運動を亢進させると同時に、腸管内への水分分泌を促進して内容物を軟化・膨大化させます。胃から大腸への移動時間と腸内細菌による代謝時間を合算すると約8時間前後を要するため、医療現場では「就寝前の服用」が原則とされています。夜10時〜11時頃に服用することで、起床時あるいは朝食後の胃結腸反射と重なり、翌朝7時〜9時頃にスムーズな排便が得られる仕組みです。