日本で親しまれているカニは四大蟹だけではありません。大衆的な居酒屋や家庭料理、バイキングで圧倒的な存在感を放つ種類も押さえておきましょう。
ワタリガニ(ガザミ)は、最後尾の脚がオールのような平たい「遊泳脚」に変化しており、海中を自在に泳ぐ機動力を持つカニです。身の繊維はきめ細やかで濃厚な出汁が出るため、スープや煮込み料理で真価を発揮します。
取材に基づく料理人直伝の「ワタリガニのトマトクリームパスタ」レシピでは、甲羅をオリーブオイルとにんにくで香ばしく炒め、白ワインでフランベしてからトマトソースと煮込むことで、甲殻類特有の甘みと旨味成分(グルタミン酸・グリシン)がソース全体に溶け出します。また、韓国料理の「カンジャンケジャン(生醤油漬け)」や味噌汁の具材としても至高の味わいをもたらします。
一方、ホテルのビュッフェやカニ食べ放題で人気の種類としては、コストパフォーマンスに優れた「紅ズワイガニ」や「トゲズワイガニ」、そしてタラバガニの代替として広く普及している「アブラガニ」が挙げられます。
アブラガニはタラバガニと同じタラバガニ科に属し、味や食感は本タラバに肉薄する美味しさを持っています。見分け方のポイントは、甲羅中央の心臓部にある突起の数です。タラバガニの突起が「6個」であるのに対し、アブラガニは「4個」しかありません。近年は適正な表示義務が徹底されており、適正価格で良質なアブラガニを味わえる機会が増えています。