『鬼滅の刃』全編を通じても、上弦の六 過去 悲しいと読者の心を打ち砕いたのが、妓夫太郎と堕姫(人間時代の名は「梅」)の妓夫太郎 堕姫 生い立ちです。彼らが生まれたのは、吉原遊郭のなかでも最下層に位置する「羅生門河岸」でした。
産み落とされた瞬間から「間引き」の対象とされ、容姿の醜さや不衛生さから人間扱いされず石を投げられて育った妓夫太郎。そんな彼の唯一の誇りであり光となったのが、絶世の美貌を持って生まれた妹の梅でした。しかし、美しさゆえに客の侍の目をかんざしで突いてしまった梅は、報復として生きたまま縛られ、火炙りにされてしまいます。
黒焦げになった妹の亡骸を抱きしめ、雪降る街で誰からも助けを得られず慟哭する妓夫太郎の前に現れたのが、当時の上弦の弐・童磨(どうま)でした。社会から徹底的に搾取され、見捨てられた兄妹にとって、鬼になることは生き残るための「唯一の正義」だったのです。
そして迎える上弦の六 死亡シーン。頸を落とされ消滅する間際、罵倒し合いながらも互いを庇おうとした二人は、炭治郎の言葉によって本来の絆を取り戻します。暗闇のなか、妓夫太郎は妹を「ずっと明るい光の差す場所へ行け」と地獄への同伴を拒絶しますが、梅は泣き叫びながら背中にしがみつき、「ずっと一緒にいる」と誓います。かつて雪の吉原で生き抜いたように、業火に包まれながら地獄の底へと消えていく兄妹の姿は、多くのファンの涙を誘いました。