頑丈にロックされたようにビクともしないジャムの瓶ですが、その状態に陥るプロセスは「未開封の新品」と「一度開封した後の保存品」でまったく異なります。力任せに対処する前に、まずはそれぞれの原因を正しく把握することが解決への第一歩です。
まず、未開封の状態で新品ジャムの蓋が開かない対処法を探すケースでは、製造工程における「脱気密封」が直接の原因です。ジャムのトップメーカーであるアヲハタなどの製造ラインでは、瓶詰め時に高温で充填したあと、ヘッドスペース(瓶上部の隙間)の空気を水蒸気で追い出し、素早く密栓して冷却します。冷却に伴い内部の水蒸気が水へと凝縮し、瓶の内部は約0.04〜0.06MPa(メガパスカル)の強力な負圧(半真空状態)へと変化します。このとき、外側から蓋全体に対して約1気圧(1平方センチメートルあたり約1kg)の大気圧が上から押し付けられるため、人間の握力だけでは回らなくなるのです。
一方、開封後に冷蔵庫で保管していた瓶が開かなくなる主たる要因は、ジャムの蓋が固まる糖分原因にあります。ジャムに含まれる高濃度のショ糖や果糖、ゲル化剤であるペクチンが、開閉時に瓶の口や蓋のネジ溝に付着。冷蔵庫内の乾燥した冷気によって水分が蒸発すると、糖分が再結晶化して強力な糊(接着剤)のような結合力を発揮します。この糖の結晶はガラスと金属のネジ山を強固に固着させるため、単に摩擦を高めるだけでは容易に回らなくなります。