街中の傘立てを見渡すと、色鮮やかなニットや洗練されたレザーをハンドルに纏った傘が目立つようになりました。ブームの背景には、単なるファッション性にとどまらない、極めて実利的な2つの動機が存在します。
1つ目は、傘持ち手ボロボロ補修カバーとしての役割です。高価なブランド傘やお気に入りの日傘であっても、ポリウレタン(合皮)素材のグリップは、湿気や皮脂によって2〜3年で「加水分解」を起こします。表面がポロポロと剥がれ落ちたり、不快なベタつきが生じたりして「骨組みや生地は無事なのに持ち手だけが使えない」という事態に陥りがちです。専門の修理店へ持ち手交換を依頼すると3,000円〜5,000円前後のコストがかかりますが、専用カバーを被せるだけで新品同様の握り心地を取り戻せる点が、賢い生活者の心を掴んでいます。
2つ目は、ビニール傘盗難防止目印としての心理的抑止力です。警視庁の遺失物データや防犯心理学の観点からも明らかなように、ビニール傘の無断持ち去りの大半は「自分のものと見分けがつかない」「罪悪感が薄い」という無意識の心理から発生します。個性的で視認性の高い傘ハンドルカバーを装着しておくことで、他人が誤って手に取るリスクをほぼゼロに抑えることが可能です。