街の姿を根本から変えようとしている最大の原動力が、大田区が長年推進してきた新空港線(通称:蒲蒲線)の整備事業です。東急東横線・目黒線・多摩川線と京急空港線を結び、渋谷・新宿・池袋方面や埼玉方面から羽田空港へのアクセスを劇的に改善するこの国家規模の鉄道プロジェクトは、2030年代半ばの開業を視野に、2026年現在いよいよ実弾を伴う都市基盤工事へとシフトしています。
大田区が策定した「蒲田駅周辺地区グランドデザイン」およびまちづくり方針によると、再開発のターゲットは単なる線路の敷設にとどまりません。JR蒲田駅と東急蒲田駅、そして約800メートル離れた京急蒲田駅の結節点をどうシームレスに繋ぐかという長年の課題に対し、駅舎の建て替えや地下通路の拡充、東西駅前広場の抜本的な再編成が同時に計画されています。
蒲田駅の西口・東口で大規模な再開発が避けられない理由は極めて明白です。終戦直後の闇市をルーツに持つ駅前の密集市街地は、路地が極端に狭く、木造建築の老朽化による防災上のリスクが長らく懸念されてきました。大地震や火災発生時の避難路確保、緊急車両の進入ルート整備は、首都直下地震を見据える東京都全体の喫緊の課題です。さらに、羽田の玄関口としての国際競争力強化を狙う大田区にとって、昭和の面影を残す駅前の近代化はもはや後戻りのできない選択肢となっています。