後藤というキャラクターが一躍ファンの心を掴んで離さなくなった決定打といえば、原作コミックス第12巻(遊郭編直後)で描かれた蝶屋敷の病室におけるカステラ差し入れシーンです。
上弦の陸(堕姫・妓夫太郎)との死闘を終え、炭治郎は2ヶ月以上にもわたって昏睡状態に陥っていました。周囲が絶望と不安に包まれる中、後藤は自らの懐を痛めて奮発し、当時としては高級品であった「カステラ」を手土産に持って病室を見舞いに訪れます。
そこで炭治郎がふと目覚めている姿を目撃した瞬間、後藤は驚愕のあまり手に持っていたカステラを取り落としそうになりながら、「意識が戻ったあああああ!」と蝶屋敷全体に響き渡る大絶叫を上げました。この叫び声を聞きつけて、動揺した栗花落カナヲが持っていた花瓶を床に落として割り、神崎アオイや屋敷の子供たちが涙を流しながら部屋へ雪崩れ込んでくるという、シリーズ屈指の温かい名場面が幕を開けます。
後藤は口が悪く、炭治郎に対しても「目覚ますの遅えよ!」などと悪態をつきますが、その手には誰よりも早く回復を願って買ってきた高価な菓子がありました。この「不器用だが誰よりも情に厚い」というツンデレ気質こそが、多くの読者が後藤を愛してやまない本質的な理由です。