日常的に飲まれているドリップコーヒーとエスプレッソの最大の違いは、「抽出にかける圧力と時間」にあります。ドリップコーヒーがお湯の重力によって数分(3〜5分程度)かけてゆっくり成分を濾過するのに対し、エスプレッソは専用マシン内部で約9気圧という高気圧をかけ、わずか20〜30秒の短時間で一気にエキスを押し出します。
提供される液量にも明確な差があります。ドリップコーヒーが1杯あたり120〜150ml程度であるのに対し、エスプレッソはシングル(ソロ)で約30ml、ダブル(ドッピオ)でも約60mlと極めて少量です。極細挽きにされたコーヒー粉の層に高圧の熱湯を通すことで、短時間で過剰な雑味を出さず、良質なオイル分とアロマだけを閉じ込めた濃厚な一杯が完成します。
また、エスプレッソの液面を覆う黄金色のきめ細やかな泡は「クレマ(Crema)」と呼ばれます。このクレマは、高圧抽出によってコーヒー豆に含まれる炭酸ガスと油分が瞬時に乳化して生まれる現象です。クレマは香りを閉じ込めるフタの役割を果たし、舌触りを滑らかにするエスプレッソならではの象徴といえます。