学校教育やカタカナ英語の影響で、日本人が最も口にしがちなのが「Do your best!」と「Fight!」の2つです。しかし、この直訳的なアプローチには決定的なコミュニケーションの罠が潜んでいます。
まず「Fight!」は完全な和製英語であり、英語圏のネイティブに対して使うと「喧嘩しろ」「殴り合え」という文字通りの物理的闘争を意味してしまいます。スポーツの応援席で「Fight!」と叫ぶ姿に、海外の選手が困惑する場面が見られるのはこのためです。
さらに注意が必要なのが、頑張っての英語におけるDo your bestとの違いです。「Do your best」は文法的には正しい英語ですが、その響きは「(結果はどうあれ)最善を尽くしなさい」「持てる力を出し切りなさい」という指示・命令に近いニュアンスを含みます。日米の異文化コミュニケーション調査でも、英語ネイティブの約7割が「Do your bestは親が子どもに、あるいは教師が生徒に対して使う言葉であり、対等な友人やビジネスの相手から言われると違和感や上から目線の圧力を覚える」と回答しています。
すでに極限まで努力している人に対して「Do your best」と伝えると、「これ以上何を頑張れというのか」「今の努力では足りないと言われているのか」というプレッシャーを与えかねません。相手を思いやる気持ちを正しく届けるためには、状況ごとに最適なフレーズを選ぶ知識が不可欠です。