郷ひろみと樹木希林『お化けのロック』誕生秘話と伝説デュエットの真相

郷ひろみと樹木希林『お化けのロック』誕生秘話と伝説デュエットの真相

郷ひろみと樹木希林『お化けのロック』誕生秘話と伝説デュエットの真相の要点を分かりやすくまとめてご紹介します。

『お化けのロック』がレコードとしてリリースされたのは1977年9月1日。当時21歳の郷ひろみは、新御三家の一角として歌謡界の頂点を極めていました。一方の樹木希林は、同年4月に長年親しまれた芸名「悠木千帆」をテレビ番組の競売企画で手放し、突如改名したばかりの波乱に満ちたタイミングでした。

二人が出会う舞台となったのは、TBS水曜劇場の名物ディレクター・久世光彦が演出を手掛けたホームドラマ『ムー』です。東京・下町の足袋屋「うさぎ屋」を舞台に、向田邦子がメイン脚本を務めたこの作品は、従来のホームドラマの枠組みを根底から揺さぶる前衛的な実験場でした。久世光彦は、うさぎ屋の次男坊・拓郎役の郷ひろみと、家政婦・うらら役の樹木希林によるコミカルな掛け合いに着目し、「劇中で二人に歌を歌わせる」という突拍子もないアイデアを打ち出します。

しかし、当初樹木希林は歌うことを断固として拒否しました。当時の制作関係者の証言や後の回顧録によると、樹木希林は「私は役者であって歌手ではない。ひろみさんのような本職のアイドルの隣で素人が歌うなど、視聴者にも相手にも失礼極まりない」と頑なに首を縦に振らなかったといいます。この難局を打開したのが、作詞・阿久悠と作曲・筒美京平という歌謡界最高峰のクリエイター陣でした。

阿久悠は、歌唱力で聴かせる正統派デュエットではなく、ナンセンスかつリズミカルな言葉遊びをちりばめた「お化け」の世界観を構築。「お化けのロック 歌詞」には、子どもから大人までが一瞬で口ずさめる呪文のようなリフレインと、哀愁を帯びたユーモアが周到に仕組まれました。筒美京平は、当時世界を席巻していたロックンロールやロカビリーのリフを大胆に取り入れ、樹木希林の語りかけるようなハスキーボイスが自然なグルーヴを生む絶妙なキー設計を完成させます。デモテープを聴いた樹木希林は「これなら歌ではなく芝居の延長として表現できる」と納得し、伝説のプロジェクトが一気に動き出しました。

高橋 健太
著者

高橋 健太

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。