1988年10月、全日本女子プロレスでデビューを果たした井上京子の若い頃を知るファンは、現在のヘビー級ファイターとしての姿からは想像もつかない軽快さと愛らしさを鮮烈に覚えています。当時の全女はオーディション倍率が数百倍に達する過酷な競争社会であり、入門した昭和63年組の中でも、山形県南陽市出身の彼女は天性のバネと明るいキャラクターで頭角を現しました。
デビュー初期のリングネームは本名のままで、当然ながらペイントは一切なし。ショートカットに引き締まった体躯、人懐っこい笑顔は、雑誌のグラビアやプロレス専門誌の表紙を飾り、「ボーイッシュでかわいい」「元気印のホープ」として絶大な女性ファン・男性ファンの支持を獲得しました。運動神経は団体内でも突出しており、大柄な体格へとビルドアップしていく過程でも、トップロープからのプランチャやトペ・スイシーダを軽々とこなす驚異的な身体能力を見せつけていました。
彼女の経歴プロフィールを振り返る上で欠かせないのが、同姓であり同期の「井上貴子」とのタッグチーム「W井上」の結成です。圧倒的なビジュアルでグラビア界も席巻した正統派美少女の貴子と、愛嬌あるキャラクターと抜群のプロレスセンスで会場を沸かせる京子。対照的な二人のコントラストは全女マットで爆発的な人気を博し、女子プロレスの新たな黄金期を切り拓く起爆剤となりました。