安楽死の方法と法制度の現在地|スイスの条件と日本の議論を検証

安楽死の方法と法制度の現在地|スイスの条件と日本の議論を検証

安楽死の方法と法制度の現在地|スイスの条件と日本の議論を検証に挑戦したい方へ、役立つ ヒントをご紹介します。

世界的に見て安楽死や自殺幇助が法的に認められている地域であっても、「希望すれば誰でも容易に実行できる」という制度は存在しません。各国の制度設計は、本人の自発的意思と苦痛の不可避性を極めて慎重に見極める構造になっています。

スイスでは刑法115条において「利己的な動機がない限り、自殺幇助は処罰されない」と規定されています。これに基づき「エグジット(EXIT)」や「ディグニタス(DIGNITAS)」、「ペガソス(Pegasos)」といった非営利団体が活動しています。非居住者(外国人)を受け入れている団体では、完治不能な身体疾患、耐え難い肉体的苦痛、判断能力(キャパシティ)の存在が厳格に審査されます。精神科医や独立した医師による複数回の面談、カルテの英訳・公証手続きが必要であり、申請から実施まで数カ月から半年以上の期間を要します。

一方、2002年に世界で初めて包括的な安楽死法を施行したオランダでは、積極的安楽死と医師による自殺幇助の双方が規定されています。オランダ審査委員会の年次報告データによると、全死亡者の約5%が法に基づく安楽死を選択していますが、実施にあたっては「患者の要求が自発的かつ十分考慮されたものであること」「耐え難く改善の見込みがない苦痛があること」「少なくとも1人の独立した外部医師のセカンドオピニオンを得ること」など、6つの法定注意要件の遵守が厳しく義務付けられています。

国・地域容認されている形態主な法的要件・費用相場外国人の受け入れ可否スイス医師による自殺幇助(利己的動機なき幇助)耐え難い苦痛、判断能力、自力投与が必須。費用は約1万〜1.5万スイスフラン(約170万〜250万円)。可能(ディグニタス、ペガソス等)オランダ積極的安楽死および自殺幇助公的健康保険適応範囲内。家庭医との長期の信頼関係、改善不能な苦痛、複数医師の承諾。不可(居住者・地域医療連携が前提)アメリカ(オレゴン州等)尊厳死法に基づく自殺幇助余命6カ月以内の宣告、成人、口頭と書面での複数回要請、15日以上の熟慮期間。州によって居住要件緩和の動きがあるがハードルは極めて高い日本消極的安楽死(延命治療の不開始・中止のみ一定の容認)厚労省ガイドラインに準拠。積極的介入は刑法上の違法行為(嘱託殺人罪など)。国内での積極的幇助は完全違法
木村 陽翔
著者

木村 陽翔

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。