テレビ中継や大相撲本場所休場情報を見ていると、「不戦敗」と「休場」という言葉が使い分けられていることに気付きます。この2つの用語には、取組編成上の明確な境界線が存在します。
最大の違いは、「翌日の割(対戦カード)がすでに組まれた後に休場を届け出たかどうか」にあります。大相撲では、毎日の取組は審判部による「取組編成会議」で前日の午前中に決定されます。割が正式発表された後に怪我や病気で出場不能となった場合、対戦相手がすでに決定しているため、その取組は相手力士の「不戦勝」、休場した力士の「不戦敗(黒四角■)」として記録されます。一方、取組編成会議が行われる前に休場届が受理されていれば、そもそも対戦が組まれないため、単なる「純粋な休場(や)」となり、対戦相手に不戦勝が転がり込むこともありません。
そしてファンの間で意外と知られていないのが、相撲における休場の再出場ルールです。一度休場届を出した力士は、その場所の土俵に二度と上がれないと思われがちですが、実際には「途中再出場」が制度上正式に認められています。
再出場を果たすための絶対条件は以下の通りです。
- 医師による出場許可診断書の再提出:「傷病が回復し、土俵での激しい運動に耐えうる」旨の診断書を協会へ提出する。
- 取組編成前の正式申し出:再出場を希望する日の取組が決定される前日午前中までに、師匠を通じて審判部へ届け出る。
- 審判部の承認:対戦相手の公平性や力士本人の体調を考慮し、審判部が割の編成に組み込むことを承認する。
例えば、序盤に足首を捻挫して3日間休場した力士が、集中的な消炎鎮痛治療を受けて中日から土俵へ戻り、勝ち越しを目指すケースがこれに該当します。ただし、再出場したものの痛みがぶり返し、数日後に「再休場」するという極めて過酷な土俵人生を歩む力士も少なくありません。