漫画ファンの間で今なお語り草となっているのが、ストップひばりくん打ち切りの経緯と、あまりに前衛的だったストップひばりくん最終回の結末です。1983年51号のジャンプ本誌に掲載されたエピソードにおいて、物語は突然、読者の予想を根底から覆す形で幕を閉じました。
その回では、本編のストーリーとはまったく無関係に「大河激二郎」という劇画調の筋骨隆々な新キャラクターが唐突に登場。夕日を背に涙を流しながら「少年漫画は死んだッ・・・」と叫び、そのまま「おわり」の文字が刻まれるという前代未聞のラストシーンが描かれたのです。当然ながら、坂本耕作と大空ひばりの恋の行方も、関東大空組をめぐる人間模様も一切回収されないままの断絶でした。
公式な事実関係として、これは編集部による一方的な打ち切り通告ではなく、心身ともに極限状態に達していた江口氏がこれ以上週刊ペースで描き続けることが不可能となり、事実上の連載放棄に近い形でピリオドを打たざるを得なかった結果でした。当時の少年読者は狐につままれたような混乱に陥り、雑誌文化の狂気と作家の悲鳴がそのまま紙面に焼き付けられた象徴的な事件として刻まれることになります。