建物そのものが、巨大な楽器のようだ。1912年(明治45年)に竣工した旧共成株式会社の店舗を利用した本館は、木骨石造の堅牢な構造を持つ。外壁の赤れんがと内部の重厚な木枠フレーム。これが、オルゴールの繊細な高音を柔らかく包み込み、空間全体に温かみのある余音を響かせる秘訣となっている。
正面玄関前で訪れる人を迎えるカナダ製蒸気時計も、外せない見どころだ。ボイラーの圧力を利用し、5つの蒸気笛がメロディを奏でる仕組みである。15分ごとに小樽の街に響き渡るノスタルジックな汽笛音は、かつて港町として栄えた小樽の記憶を今に伝えるシンボルだ。タイムスリップしたかのような感覚に包まれながら、重厚な扉を押し開けてほしい。