スポーツメディアや古参ブースターの間で根強く燻り続けているのが、「競技成績による降格がなくなることで、リーグが形骸化するのではないか」という懸念です。ネット上でも「緊張感のない消化試合が増える」「勝敗を気にしないぬるま湯リーグになる」といった批判的な言説が散見されます。
しかし、この批判はプロスポーツビジネスの構造力学を見落とした一面的な見方に過ぎません。北米のメジャーリーグ(NBA、NFL、MLB)がなぜ世界最高峰の収益性とエンターテインメント性を誇っているのか。その根幹にはまさに「クローズドリーグ(昇降格のないフランチャイズ制)」が存在します。
毎年成績下位のチームが下部リーグへ蹴落とされる恐怖に怯えている状況では、民間企業は何百億円もの巨額投融資を伴うアリーナ建設に踏み切れません。「来年2部に落ちたら売上が激減してスタジアムのローンが返済不能になる」という事業リスクを背負いながらスタジアムビジネスを展開することは、金融工学的に不可能なのです。Bリーグが下した昇降格の廃止という決断は、競技の魅力を削ぐためではなく、クラブが破綻せずに30年・50年と地域に存在し続けるための経営的防壁を築く作業でした。
一方で、見逃せない負の側面も実在します。それは「持てるクラブと持てないクラブの構造的格差の固定化」です。大都市圏の資本力を持つメガクラブや、強力な単独スポンサーを持つ新興クラブがBプレミアで巨額の利益を上げ続ける一方、地方の小規模自治体に拠点を置くクラブは「B.ONE」や「B.NEXT」に留まらざるを得ず、全国ネットの露出やスター選手の獲得機会から永久に切り離されるリスクを孕んでいます。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
激変を遂げたBリーグの観戦環境において、ファン自身も自身の価値観に合わせたスタンスを選ぶべきフェーズに入っています。
現在のBリーグ観戦を心から楽しめる人:
- 音楽、照明、チアパフォーマンス、アリーナグルメを含めた「総合エンターテインメント空間」にお金を払いたい人
- NBAのようなハイテンポで洗練された最新戦術や、フィジカルな世界的アスリートのプレーを国内で体感したい人
- アリーナをハブとした地域創生や、スタジアムビジネスのダイナミズムそのものに興味がある人
違和感やストレスを抱きやすい人:
- 「勝ったか負けたか」の悲壮感や、泥臭い地域対抗の昇降格ドラマこそがスポーツの神髄だと信じている人
- 千円台の格安チケットで週末にふらりと体育館に入り、のんびりと観戦したい昔ながらのファン
- 演出の爆音や過剰な光の演出が苦手で、ボールのバウンド音やベンチの指示の声だけを純粋に聴きたいオールドスクールな愛好家