ホグワーツの大広間がハロウィーンのごちそうで沸き立つ中、血相を変えて駆け込んできた闇の魔術に対する防衛術の担当教授、クィリナス・クィレル。「地下牢にトロールが!……知らせなきゃと思って……」と叫び、その場に倒れ込んだ姿はあまりにも有名です。生徒たちがパニックに陥り、ダンブルドア校長が寮監たちに誘導を命じる緊迫した場面ですが、この事件には冷酷な裏のシナリオが存在していました。
トロールが自力でホグワーツの防衛網を突破して侵入することなど、生物の知能レベルから考えて不可能です。真相は、ヴォルデモート卿に取り憑かれていたクィレル自身がトロールを城内へ引き入れたというものでした。クィレルはトロールの扱いに長けた魔力を持っており、厳重に守られた3階の廊下(賢者の石の隠し場所)へ教員たちの目をそらすための「完璧な囮(おとり)」として利用したのです。
目論見通り教員陣は大広間と地下牢の警戒に向かいましたが、ただ一人その策略を即座に見抜いた人物がいました。それがセブルス・スネイプです。スネイプは直ちに3階の隠し部屋へと先回りし、クィレルの横取りを阻止。その際に三頭犬(フラッフィー)に足を噛まれて負傷することになります。ハリーたちは当初スネイプを疑いますが、皮肉にもこのトロール騒動こそが、影の主犯であるクィレルとヴォルデモートの最初の本格的な軍事行動でした。