ルフィの心を粉々に打ち砕いた引き金は、言わずと知れた「マリンフォード頂上戦争」の悲劇です。インペルダウン脱獄から海軍本部への殴り込みまで、命を削るホルモン治療を受けながら兄ポートガス・D・エースの救出に奔走したルフィ。しかし、処刑台から一度は救い出した最愛の兄が、海軍本部大将赤犬(サカズキ)の攻撃から自らをかばい、目の前で命を落とすという最悪の結末を迎えます。
シャボンディ諸島で麦わらの一味がバーソロミュー・くまによって散り散りに吹き飛ばされた際、ルフィは「仲間一人すら救えなかった」という絶望を味わいました。それに追い打ちをかけるように、自らの命よりも大切だった義兄エースの死。幾重にも重なった圧倒的強者との実力差と無力感が、ルフィの精神を完全に崩壊させたのです。
「どんな壁も気合いと根性で乗り越えてきた」ルフィの成功体験が完全に通用しなくなった瞬間であり、新世界の猛者たちとの埋めがたい力量差を骨の髄まで思い知らされた残酷な現実がそこにありました。