「腰の筋肉から遠く離れた足裏をほぐして、腰痛が緩和するはずがない」と疑う方も少なくありません。しかし、現代の運動器リハビリテーションや解剖学において、足裏と腰の連動性は常識となりつつあります。最大の根拠が、全身をボディスーツのように包み込む筋膜の連結網「アナトミートレイン」における浅層バックライン(Superficial Back Line: SBL)の存在です。
浅層バックラインは、足の裏にある足底腱膜からスタートし、かかとの踵骨、アキレス腱、ふくらはぎの腓腹筋、太もも裏のハムストリングス、骨盤の仙結節靭帯、そして腰から背中を支える脊柱起立筋を経て、後頭骨から眉間へと一本のラインで繋がっています。つまり、足裏の組織が硬く収縮すると、ピンと張ったロープのように全身の背面組織が下へと引っ張られ、最終的に最も負担を受けやすい腰椎周辺に過剰な牽引ストレスがかかり続ける構造になっているのです。
さらに、リフレクソロジー(反射学)の観点からも、足裏は全身の器官が投影された縮図とされています。特に足裏のかかと部分は、骨盤内の生殖器や仙骨、腰椎の足裏反射区として位置づけられています。かかと周辺が硬直して血流不全を起こしていると、神経伝達の異常や局所的な緊張が中枢神経を通じて腰部へ波及します。足裏の硬直を解放することは、腰を引っ張り続けている「根元の留め具」を緩める作業にほかなりません。