前年のシーズン、2年連続で開幕投手を託されながらも、バイオリズムの狂いや勤続疲労から2度の二軍落ちを経験した戸郷。21試合の登板にとどまり、本人にとっても歯がゆい悔しさを味わいました。しかし、どん底を経験した男の巻き返しは強烈でした。投球フォームの根本的な見直しとフィジカルの再強化を経て迎えた2026年シーズン、マウンド上の背番号20は圧倒的な威圧感を取り戻しています。
その復権を象徴する出来事が、球団公式から記念グッズが緊急発売された自己最多14奪三振完封勝利の快投劇です。序盤から力強い直球をコースに投げ込み、勝負どころでは鋭利に切れ込む変化球で三振の山を築き上げました。かつて2024年5月24日に甲子園球場で達成したノーヒットノーラン(NPB史上89人目)を彷彿とさせる、まさに手も足も出ない支配的な投球内容でした。
単にボールの威力が増しただけではありません。昨季の不振時に痛感した「調子が悪いなりに試合を作る術」を体得したことで、四球で崩れる場面が目に見えて減少。ピンチを背負った場面でのギアの入れ替えや、相手打線の狙い球を外す老獪な配球術など、精神的・技術的な成熟が最新の成績指標(QS率やK/BB)の劇的な改善となって表れています。