1993年に挙式した二人だったが、生活の苦しさは拍車をかけた。劇団が解散すると、40歳を迎えても定期的な収入が得られず、事務所からの給料が月十数万円程度というどん底の極貧生活が続いた。気づけば借金は数百万円規模にまで膨らみ、明日の食費にすら頭を悩ませる窮地に追い込まれていた。
そんな過酷な状況下でも、妻が愚痴をこぼしたり夫を責めたりすることは一切なかった。「なんとかなるよ」と明るく笑い、少ない予算で工夫を凝らした料理を作りながら家庭を守り抜いた。事務所ファザーズコーポレーションに所属し、泥臭くオーディションを受け続ける夫を信じ切った妻の健気な姿。それこそが、折れそうになる彼の心を幾度となく繋ぎ止めた。