劇中で描かれる100億円規模の大胆不敵な詐欺劇は、2017年に実際に発生し世間を震撼させた「積水ハウス地面師詐欺事件」が大きな下敷きとなっている。東京都内の超一等地を巡り、一流ハウスメーカーが騙し取られた事件の裏には、巧妙な偽装工作と人間の心理的盲点が存在した。
豊川悦司が演じたハリソン山中は、実在した複数の地面師グループ主謀者の残忍さとカリスマ性を融合させたキャラクターだ。単なる金目当てではなく、詐欺行為そのものや人間の欲望が破滅していくプロセスに快感を覚えるサイコパスとしての造形が、実事件以上の恐怖を醸し出す。一方、綾野剛演じる辻本拓海は、事件に巻き込まれた被害者側の悲劇性を集約した存在であり、実際の事件関係者が抱えていたであろう闇や絶望をよりドラマチックに投影させている。
リアルな事件の骨組みを踏襲しつつ、フィクションならではのサスペンスと人間ドラマへと昇華させた脚本の巧みさが、視聴者に「現実でも起きうる恐怖」を直感させる。