ネット上でしばしば見受けられる誤解の一つに、「フクベエやカツマタは本物の超能力者だったのか」という議論があります。作中ではスプーン曲げや空中浮遊など、まるで超常現象のような奇跡が描かれたため、読者の一部に混乱を招きました。
結論として、彼らが使った奇跡の大半は手品(トリック)にすぎません。
空中浮遊は、ピアノ線を用いた大掛かりな舞台装置や、影武者を使ったイリュージョンであることが作中で明かされています。フクベエは小学生時代、スプーン曲げのブームに乗じてトリックで大人を騙そうとしましたが、ケンヂに「曲がってないじゃん」とあっさり見破られ、プライドを粉砕されました。
ただし、唯一の例外として描かれているのが「予知夢」の存在です。完結編『21世紀少年』において、カツマタ君が不完全ながらも未来の出来事を断片的に予知していた描写が存在します。また、カンナが持つ直感力やスプーンをわずかに曲げる力など、作品全体には微細な超感覚的知覚(ESP)のフレイバーが漂っています。しかし、彼らが世界を掌握できた本質的な要因はオカルトの力ではなく、「人間の弱さや恐怖に付け込むマインドコントロールと巨大な演出力」でした。
殺人ウイルスに関しても、何らかの超常的な呪いではなく、天才科学者・敷島教授の研究を強奪し、ヤマネらを使って精製させた生物兵器です。空中浮遊という「嘘の奇跡」で大衆を心酔させ、科学技術という「本物の暴力」で世界を跪かせた点に、友民党と「ともだち」の冷酷な計算が見て取れます。