ひとくちに「福沢諭吉の一万円札」と言っても、実は製造時期によって2つの異なる種類が存在します。手元の紙幣がどちらに属するかを識別することは、日常での使い勝手や将来的な骨董価値を測るうえで極めて重要です。
まず押さえるべきは、旧一万円札におけるD号券とE号券の違いです。1984年(昭和59年)11月1日から2004年まで発行されていたものが「D一万円券」、その後、偽造防止技術を大幅に強化して2004年(平成16年)11月1日から2024年まで発行されていたものが「E一万円券」です。
最大の見分け方は、表面の左下にある「ホログラム」の有無です。光にかざすと像が変わるホログラムが貼られていないものがD号券、左下に光沢のある楕円形ホログラムが備わっているものがE号券となります。また、裏面デザインも大きく異なり、D号券には2羽のキジ(雉)が描かれているのに対し、E号券には京都・平等院鳳凰堂の国宝「鳳凰像」が配されています。さらにE号券は、発行時期により記番号の色が黒色、褐色、青色へと変更された歴史を持ちます。
日常生活における実用面として、旧一万円札が銀行両替やATMで使えるかという点について検証した現場データは以下の通りです。
銀行の有人窓口においては、D号券・E号券ともに預金口座への預け入れや新紙幣への両替が問題なく行えます(同一金種の新券交換や一定枚数以上の両替には所定の手数料が発生する場合があります)。一方、街中のATM事情は少々異なります。大手都市銀行や地方銀行の基幹ATMでは旧札の預け入れに対応している機種が多いものの、駅構内や一部コンビニエンスストアに設置されている小型ATM、古いコインパーキングの精算機や飲食店の券売機では、センサーの読み取り設定が新紙幣優先に切り替わっており、福沢諭吉の紙幣を入れると返却口に戻されるケースが報告されています。法的には福沢諭吉の一万円札がいつまで使えるかという期限は存在しないものの、インフラの物理的な対応状況という観点では、機械決済での利便性は確実に低下しつつあります。