デビュー当初から彼の持つ天性の透明感と鋭利な存在感は際立っていた。しかし、年齢と経験を重ねた現在の市原隼人が見せる演技は、単なる「若さの爆発」とは一線を画す。蓄積された人生の葛藤や思索が、その佇まい一つひとつに刻み込まれているのだ。
特に近年の出演作で見せる重厚なアウトロー役や、深い業を背負った男たちの描写には脱帽するほかない。セリフのない一瞬の間や、視線の微かな揺らぎだけで、その人物が歩んできた過酷な過去や内に秘めた葛藤を語り尽くしてしまう。過剰な演出を削ぎ落とし、魂の震えそのものを提示するような演技スタイルは、多くの監督やプロデューサーから絶大な信頼を寄せられている。