ヒット作を連発する彼女の物語作りの現場には、徹底した人間観察と、既存の「ステレオタイプ」を一切拒否する姿勢が貫かれている。独占取材や関係者の証言から浮かび上がってきた執筆秘話の根底にあるのは、登場人物ひとりひとりに対する圧倒的なリスペクトだ。たとえ物語上の「悪役」や愚かな振る舞いをするキャラクターであっても、彼らがなぜその行動に至ったのかという背景の理屈を徹底的に掘り下げる。
物語の都合で動かされる「記号的なキャラクター」は存在しない。どれほど出番が短い人物であっても、画面の向こうにそれぞれの人生や生活の匂いを感じさせること。この徹底したアプローチこそが、感情移入の深さを生み出している。執筆の過程では、役者が発する言葉の「言いやすさ」やリズム感を考慮し、推敲を何度も重ねるという。セリフ一つに込められた熱量が演者の魅力を極限まで引き出し、観る者の心に突き刺さるのだ。