正確さと明瞭さが求められる放送の現場では、敬語の過剰使用に対する厳格なガイドラインが存在する。NHK放送文化研究所の調査や用例集によれば、視聴者に最もストレスなく情報を届けるための鍵は「簡潔さ」にあるという。
放送用語において「〜していただく」を乱発することは厳しく戒められている。何にでも「いただく」を付けると、誰が何をするのかという主語と客体の関係がぼやけてしまうからだ。相手への配慮を示しつつも、事実関係をストレートに伝えるプロの技術は、一般のビジネスコミュニケーションにも極めて有効である。
「〜していただく形になります」といった婉曲的な表現を避け、「〜をお願いいたします」「〜の手続きをとります」と言い切る潔さが、結果として相手の時間を奪わない敬意の表明となる。