倉本作品が持つ圧倒的なリアリティは、決して机上の空論から生まれたものではない。1984年に自ら開設した「富良野塾」において、全国から集まった若者たちは自給自足の厳しい共同生活を送りながら表現を学んだ。自らの手で土を耕し、薪を割り、自然の厳しさと温もりに身を晒すことで、生きることの本質を身体に叩き込んだのだ。
優れた脚本を書くために必要なのは、上辺だけの綺麗なセリフ回しではない。人間が抱える愚かさや弱さ、美しさを含めた「業」をいかに誤魔化さず見つめ直せるか。富良野塾という試練の場で培われたこのフィロソフィーは、数多くのクリエイターを輩出し、業界全体へ計り知れない影響を与え続けている。