幽霊の造形以上に恐ろしいのは、狂気に引きずり込まれる人間の心理だ。『謝罪』における岩田剛典と、『遊びのぬかるみ』における松本穂香の芝居は、まさにその真髄を突いていた。
アパートという極めて私的な空間が侵食される恐怖。岩田が見せた「恐怖が日常化していく絶望」は、観客自身の部屋のドアすら疑わしく思わせるほどの浸透力を持っていた。一方、松本が表現した「過去の罪悪感が呼び寄せる怪異」は、誰しもが胸の奥に抱える後ろめたさをチクリと刺激する。
二人が魅せた抑制の効いた演技こそが、荒唐無稽になりがちなホラーというジャンルに圧倒的な説得力を与えていたのは間違いない。