サリンの恐怖は、事件の終息とともに消え去ったわけではない。生き残った被害者たちは、30年以上の歳月が流れた現在もなお、重い後遺症に苦しめられ続けている。PTSD(心の傷)をはじめ、慢性的な視力障害、倦怠感、関節痛、神経痛など、症状は多岐にわたる。
長年意識不明の重体に陥り、2008年に他界した河野義行氏の妻・澄子さんのように、被害の苦しみは家族の人生をも根底から変えた。医療費の負担や社会的支援の継続性は、事件から数十年が経過した現代においても、国家と社会が取り組むべき重要な課題であり続けている。