足裏のほくろが癌なのか、それとも放置して問題ない良性腫瘍なのか。その判断において、皮膚科専門医が用いる世界共通の診断基準がABCDEルールです。自己判断で様子見を続ける前に、以下の5項目と自身の足裏を照らし合わせる必要があります。
- A(Asymmetry:非対称性):中心に仮想の線を引いたとき、左右・上下の形がいびつで一致しない。良性のほくろは綺麗な円形や楕円形を描きます。
- B(Border:境界の不明瞭さ):輪郭がギザギザしていたり、周囲の皮膚へ墨汁がにじみ出るようにぼやけていたりする。
- C(Color:色調の不均一性):単一の茶褐色ではなく、濃い黒、薄い茶色、赤、青、白などがまだらに混ざり合っている。
- D(Diameter:病変の直径):病変部の長径が6ミリメートル以上(鉛筆の消しゴムのサイズが目安)ある場合、悪性のリスクが跳ね上がります。
- E(Evolving:経時的な変化):短期間(数か月単位)でサイズが急拡大した、色が濃くなった、あるいは隆起してきたという動的変化。
さらに、足の裏の観察において最も決定的となるのが、指紋と同じように存在する「皮膚の溝と丘(皮膚紋理)」との位置関係です。肉眼では捉えにくいものの、ダーモスコピー(特殊な拡大鏡)を用いると、良性ほくろは皮膚の溝にあたる「皮溝」に沿って規則正しく色素が沈着する皮溝並行パターンを示します。対してメラノーマの初期病変では、溝と溝に挟まれた盛り上がりである「皮丘」に色素が不規則に沈着する皮丘並行パターンが観察されます。この皮膚紋理の判別は、悪性黒色腫の正診率を90%以上に引き上げる核心的指標となっています。