ネット上のレシピ動画や情報発信では、時として科学的根拠を欠いた誤解が拡散されているケースが見受けられます。代表的な2つの盲点を是正しておきます。
第一の誤解は、「煙を出さないために、ずっと弱火でじっくり焼く」という手法です。確かに脂が気化する温度には達しにくいため煙は抑えられますが、これは焼肉において最悪の選択肢です。肉の表面が凝固しないまま内部の水分が抜け落ち、パサパサの乾燥肉になるばかりか、結果として滲み出た肉汁が長時間フライパンで煮詰まり、異臭の原因になります。正解は「強めの中火で短時間で焼き、脂が出たら即座にペーパーで拭き取る」ことです。
第二の誤解は、「テフロン加工のフライパンに油は一切引かなくてよい」という言説です。牛脂やサラダ油を薄く塗り広げる本来の目的は、単なる焦げ付き防止ではありません。フライパンの微細な凹凸を油で埋め、肉の表面全体へ均一かつ急速に熱を伝える「熱媒体」としての役割を持っています。極少量の油をペーパーで薄く塗り伸ばしてから肉を置くことが、焼きムラを防ぐ絶対条件です。