初訪問の来店客がまず戸惑うのが、テキストを徹底的に排除したメニューブックです。言語の壁を取り払い、世界中の誰が見ても同じ体験ができるように設計されたこのUI(ユーザーインターフェース)ですが、事前知識がないと何を頼めばよいか迷ってしまいます。提供されているコアメニューの構造を整理しました。
メインとなる麺料理は、大きく分けて清湯(チンタン)スープの鴨ラーメンと、濃厚な泡立ちが美しい鴨白湯つけ麺の2本柱です。丼アイコン(🍜)の隣に描かれた鴨(🦆)の数が肉の増量を意味しており、🦆が1羽なら標準、2羽なら肉増し、3羽なら特製盛りといった段階的な仕様になっています。スープの温度や濃度、さらには麺の太さに至るまで、絵文字のニュアンスで表現されています。
サイドメニューに描かれた小さな葡萄(🍇)や蜜柑(🍊)のアイコンは、つけ汁や丼の縁に添えられるフルーツのコンフィチュールやピューレを指しています。同店ではフレンチの古典的な鴨料理「鴨のロースト オレンジソース」「鴨胸肉とベリーのソース」の文脈をラーメンの丼内で再構築しており、酸味と果実味によって鴨の脂の重さを絶妙に中和させるギミックが施されています。卓上に置かれた調味料入れにも文字はなく、紀州産のぶどう山椒や黒胡椒のミルが整然と並び、客自身が香りを重ねていく設計です。