加納典明という表現者の根底には、常に既存の秩序への強烈な反逆がある。1969年に発表された伝説的写真集『FUCK』は、それまでの日本の写真業界に蔓延していた予定調和の美意識を粉砕した。生々しい人間の性や都市の猥雑さを荒々しい粒子で焼き付けたその一冊は、今なおアートブックの金字塔として語り継がれている。
さらに1980年代には映画『BUNNY'S ANGEL』のメガホンを取り、映像表現の領域でもスキャンダラスな美学を展開した。写真にとどまらず動画の世界でもタブーの境界線を踏み越えていった経験は、現在の創作における構図力や光の捉え方にダイレクトに息づいている。