本作の人間模様は、宮城県の豊かな大自然に抱かれた「登米の山」と「気仙沼の海」という2つの対照的な舞台で織りなされる。百音を取り巻くキャストたちの関係性は、家族、恩人、職場の同僚という単純な枠組みを超え、互いの孤独を埋め合わせるように緻密に交錯していた。
百音の祖父を演じた藤竜也、両親を演じた内野聖陽と鈴木京香の掛け合いは、まさに円熟の極み。特に内野と鈴木が演じた耕治と亜哉子の夫婦像は、被災地で生きる親としての葛藤と愛情を自然体で体現し、現場の空気を引き締めていたという。また、登米の資産家・サヤカを演じた夏木マリの圧倒的な包容力は、撮影現場でも若手キャストたちの大きな精神的支柱となっていた。こうした世代を超えた名優たちのセッションが、相関図の随所に厚みを与えていたのだ。