哲学者の頭の中にあった極論は、やがてSFエンターテインメントの金字塔たちへと受け継がれていく。最も有名な例が、映画『マトリックス』だろう。主人公ネオが突きつけられた「見ている世界はコンピューターが脳に見せているシミュレーションに過ぎない」という世界観は、ラッセルの仮説と地続きのテーマだ。
また、日本のポップカルチャーにおける金字塔『涼宮ハルヒの憂鬱』でも、主人公の少年キョンが世界が数日前に誕生した可能性について思考を巡らせる有名なシーンが存在する。難解な認識論のハードルを下げ、若者たちに「世界の不確かさ」を強烈に意識させた功績は計り知れない。