こうした意識の波紋は、市場にも直接的な変化をもたらしている。現在のジュエリー産業が熱視線を送るのは、あえてデザインを完コピしない「シークレット・ペア」の提案だ。ファッション・トレンドの最前線では、あからさまな同一性よりも、素材やテクスチャー、あるいは刻印によってふたりだけの秘密を共有するスタイルが主流になりつつある。
たとえば4℃が手掛けるオフィス馴染みの良い流線形フォルムや、ティファニーの持つタイムレスで洗練されたシルバー・ゴールドのラインナップは、年齢を重ねた指元にも自然な品格を添える。さらにカルティエに代表される一生もののメゾンジュエリーは、ペアという枠組みを超えた普遍的な資産価値と美しさで、成熟した大人の愛を飾るに相応しい選択肢として圧倒的な支持を集めている。