ネット上のコミュニティ、特になんJ(なんでも実況J板)などで『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』が「劇場版クレしんの最高傑作」と絶賛される最大の理由は、徹底的に大人をターゲットにした容赦のないドラマ性にある。かつて『オトナ帝国の逆襲』や『戦国大合戦』が築き上げた金字塔に肩を並べる、あるいはそれを超える深みがあると称されるのだ。
映画の冒頭、腰を痛めた野原ひろしは怪しいエステサロンでロボットの姿に変えられてしまう。前半のコミカルなテンポ感から一転、物語は「家庭内での父親の立ち位置」や「格差社会における父親たちの叫び」という生々しい社会風刺へと舵を切る。笑いの中に潜むリアルな切なさが、大人の視聴者の胸に突き刺さるのだ。