なぜ藤子・F・不二雄は、子供向け漫画に「ヒットマン(殺し屋)」を模した道具を登場させたのか。そこには彼が得意とした「少し不思議(SF)」な世界観と、大人の社会に対する辛辣なユーモアが隠されている。
金で動き、依頼人の指示を機械的にこなすころばし屋は、過度なテクノロジー依存や契約社会の怖さを皮肉ったものだ。殺傷能力のある兵器ではなく「転ばせるだけ」という絶妙なブレーキをかけつつも、逃れられない恐怖を描く演出力は天才的としか言いようがない。コミカルなフォルムの中に冷酷な職人気質を同居させたデザインワークは、今なおクリエイターの間で高く評価されている。