菜園初心者が最も混同しやすいのが「わけぎ(分葱)」と「葉ネギ(九条ネギ)」の扱い方です。両者は見た目こそ似ていますが、植物分類学的にも栽培法においても全く異なる作物です。
わけぎに「種まき」は存在しない
ネット検索では「わけぎ 種まき 時期」といったキーワードが多く見受けられますが、わけぎは種子を形成しない不稔性植物(タマネギとネギの自然交雑種)です。そのため、種袋としてタネが市販されることは原理的にあり得ません。
わけぎを育てる場合は、園芸店やホームセンターで夏場に流通する「種球(球根)」を8月下旬〜10月上旬に植え付けます。球根の先端がわずかに地表から覗く程度の浅植えにし、20日前後で急速に葉が茂るため、種から育てるネギよりも圧倒的に早く手軽に収穫できるのが特徴です。
九条ネギの「干し苗(堀り上げ苗)」という伝統農法
京都の伝統野菜である九条ネギは、一般的な種まきカレンダー(春まき3〜4月、秋まき9〜10月)に従って種から育てることも可能ですが、関西のプロ農家では「干し苗栽培」と呼ばれる特殊な技法が受け継がれています。
春にまいて夏まで育った九条ネギを7月頃に一度畑から掘り上げ、風通しの良い日陰で1ヶ月ほどカラカラに乾燥させます。あえて極度の乾燥ストレスを与えることで休眠させ、8月下旬〜9月に再定植すると、驚くべき耐暑性と分げつ力を発揮し、甘みとぬめりが凝縮された最高品質の九条ネギへと仕上がります。こうした植物生理を逆手にとった栽培技術も、ネギの奥深さを示す証左です。