内縁の妻には法律婚と共通する権利が保障されている反面、制度上切り捨てられている重大な盲点が存在します。この「得られる保護」と「排除される権利」の境界線を正確に理解しておくことが不可欠です。
法的に保障される権利として、民法上の「同居・協力・扶助義務」や「貞操義務」が課されます。パートナーが浮気をした場合は不貞行為として慰謝料請求が可能であり、生活費(婚姻費用)の分担請求権も発生します。さらに、関係を解消する際には内縁関係解消時の財産分与が認められており、同居期間中に2人で築いた共有財産は原則として2分の1ずつ公平に分け合う権利を有します。
しかし、内縁の妻の法的権利とデメリットを比較した際、直面する最も厳しい現実が内縁の妻の遺産相続です。
日本の民法は、法定相続人の範囲を「戸籍上の配偶者」と「血族」に厳格に限定しています。どれほど献身的に看病し、30年、40年と人生を共にした内縁の妻であっても、法定相続権は1円分も発生しません。パートナーが亡くなった場合、財産はすべて故人の子どもや親、兄弟姉妹などの法定相続人に渡り、最悪の場合、住み慣れた自宅から立ち退きを迫られる事態に陥ります。