駅前のベーカリーで出会った女性(34)は、2年前に世田谷区から転居してきたという。決め手となったのは、子育て環境と住居コストのバランスだった。
「都内では手狭な2LDKで月20万円以上の家賃を払っていました。ここでは同じ予算で広い庭付きの一戸建てが手に入り、子どもが家の中を走り回っても隣人に気兼ねする必要がありません。東京を諦めたという感覚は一切なくて、自分たちの生活にとって本当に価値のあるものを主体的に選んだ結果です」
彼女の言葉に象徴されるように、移住者たちの表情に過疎地へ逃れてきたような悲壮感はない。むしろ、自分たちの手で新しい街のカルチャーを創り出そうとする前向きな空気が、駅前のコミュニティスペースやマルシェイベントの随所から漂ってくる。