境内に足を踏み入れた瞬間、誰もが息を呑む。目の前に広がるのは、日光東照宮を彷彿とさせる緻密な彫刻と、息を吹き返したばかりの鮮やかな漆塗りだ。
2014年から始まった「平成・令和の大改修」は、20年という気の遠くなるような歳月をかけて全26棟の国指定重要文化財を修復する国家レベルのプロジェクトだ。2026年の今、主要な社殿の覆屋が次々と外され、往時の輝きを完全に取り戻した姿が白日の下に晒されている。単にペンキを塗り直すような安易な修復ではない。漆の精製から顔料の調合に至るまで、江戸時代の職人たちが残した古文書と科学分析を照らし合わせ、当時の技法を忠実に再現しているのだ。
陽光に照らされてギラリと光る極彩色の鳥獣や植物の彫刻群。そこには、数百年先の人々に自分たちの技術を証明しようとした名工たちの執念が宿っている。