この騒動が単なる芸人同士の愚痴に留まらず、社会的な大炎上に発展した背景には、日本の視聴者が抱く倫理観を根底から踏みにじる三つの決定的な要因が存在していました。
第一に、関西演芸界を半世紀近く牽引してきた大御所に対する「敬意の完全な欠落」です。上沼恵美子は女性漫才師として一時代を築き、若手育成のために請われて審査員席に座っていた経緯があります。審査結果に不満があるとはいえ、裏で酒の力を借りて大先輩を「オバハン」呼ばわりした態度は、芸道における礼節を著しく逸脱していました。
第二に、女性特有の健康状態や年齢を侮蔑表現として用いた「倫理的タブーへの抵触」です。発言内容に含まれた「更年期」といった言葉は、単なる個人攻撃を超えて、一般社会で働く多くの女性や中高年層に対する露骨なハラスメントと受け止められました。SNSの反応を分析すると、お笑いファンのみならず主婦層や一般視聴者からも「聞いていて不快」「人間性を疑う」といった怒りの声が爆発的に増加したことが確認されています。
第三に、生配信という「密室の暴露性」です。関係者向けのクローズドな場での愚痴であれば内輪のトラブルで収束した可能性もありましたが、全世界へ向けてリアルタイム配信した軽率さが、視聴者に「公の場で審査員をリンチしている」という強い嫌悪感を抱かせました。