絵本『押入れの冒険』が50年愛される理由|トラウマと感動の正体を徹底解剖

絵本『押入れの冒険』が50年愛される理由|トラウマと感動の正体を徹底解剖

絵本『押入れの冒険』が50年愛される理由|トラウマと感動の正体を徹底解剖の重要ポイントを解説します。役立つ情報が詰まっています。

物語の舞台は、活気あふれる「さくら保育園」。お昼寝の時間になっても興奮冷めやらぬ男の子、さとしとあきらは、ミニカーの取り合いから激しい喧嘩を始めてしまいます。ほかの子どもたちの眠りを妨げたふたりは、みずの先生によって罰として暗い「おしいれ」の上段と下段にそれぞれ閉じ込められてしまいます。

真っ暗なおしいれの中には、園児たちの間でまことしやかに囁かれていた恐ろしい怪異、ねずみばあさんが潜んでいました。壁のシミや使い古された布団の陰影が徐々に形を変え、無数のネズミたちを従えたねずみばあさんがふたりに襲いかかります。絶体絶命の危機において、さとしとあきらは暗闇の中で必死に手を伸ばし、固く握り合いました。

幻影の世界へ引きずり込まれ、高速道路をミニカーで激走しながらねずみばあさんの追撃を逃れるふたり。「ごめんなさいと言えば出してもらえる」という安易な降伏を拒み、互いを信じて恐怖に耐え抜きます。外では、ふたりを閉じ込めたことに強い罪悪感を抱いたみずの先生がおしいれの戸を開けますが、子どもたちはなおも手をつないだまま、自らの力で恐怖を克服して立ち尽くしていました。

最後は、先生が自らの過ちを認め、ふたりを抱きしめて和解します。夕方の園庭でミニカーを走らせるふたりの姿には、試練を乗り越えた者同士の揺るぎない絆と、確かな自己肯定感が宿っています。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。