鑑賞者の誰もが抱く疑問が、「なぜこれほどの一流スターたちが、自らのパブリックイメージを覆すような超怪作に出演したのか」という点です。製作陣の証言や各キャストの公式インタビューを紐解くと、そこには映画業界の常識を覆すキャスティング秘話が存在していました。
翔んで埼玉 GACKT 配役の決定プロセスは異例中の異例でした。原作者の魔夜峰央は「麻実麗役をGACKTが演じてくれるなら実写化を許諾する」と明言。当初、当時40代半ばだったGACKTは「高校生役など到底無理がある」と即座にオファーを断ったと公の場で語っています。しかし、原作の持つ圧倒的な美意識と武内英樹監督の「大真面目にバカをやる」という熱烈な説得を受け、特殊メイクや徹底的な肉体改造を経て受諾を決意しました。
一方、翔んで埼玉 二階堂ふみ 役柄にも驚くべき経緯があります。原作の壇ノ浦百美は美少年という設定でしたが、製作陣は当初、女性キャラクターへの変更を検討していました。これに対し、二階堂ふみ本人が「原作通り男の子の役として演じたい」と直談判。女性であることを隠さずに堂々と少年・百美を演じるというアプローチが、映画に宝塚歌劇団のような高貴さと唯一無二の様式美をもたらしました。
第2作で参戦した翔んで埼玉 杏 桔梗魁(滋賀解放戦線のリーダー「滋賀の貴公子」)や、翔んで埼玉 片岡愛之助 嘉祥寺晃(冷酷非道な大阪府知事)の抜擢も同様です。杏は男装の麗人として圧倒的なノーブルさを放ち、片岡愛之助は歌舞伎仕込みのケレン味あふれる悪役芝居を披露。これら翔んで埼玉 豪華俳優陣 出演理由の根底にあるのは、「一歩間違えれば大惨事になるギャグだからこそ、本物の技量を持つ役者が極限のシリアスさで演じる」というクリエイティブへの強い共鳴でした。