舞台で圧倒的な存在感を示した石橋は、映像の世界においても強烈な爪痕を残していく。特に1970年代から80年代にかけて台頭した任侠映画やハードボイルド作品において、彼は欠かせない異彩を放つ存在となった。
中でも1983年の映画『竜二』での演技は伝説的だ。金子正次が主演・脚本を務めたこの異色のヤクザ映画で、石橋は主人公を取り巻く裏社会の人間をリアリティたっぷりに演じ切った。背筋が凍るような冷酷さと、どこか哀愁を帯びた佇まいは、映画ファンの心に深く刻まれている。時を経て、北野武監督の『アウトレイジ』に出演した際にも、老獪で陰湿なヤクザの幹部役を熱演。若き日のギラついた鋭さはそのままに、年齢を重ねたからこそ出せる老辣な毒気を加え、日本映画界を代表する名バイプレイヤーとしての地位を確立した。