インターネット上で現在もくすぶり続けるのが、舞洲スラッジセンターの建設費を巡る「税金の無駄遣い」という批判である。当時の大阪市議会記録や決算資料を紐解くと、スラッジセンターの総事業費は約800億円規模に上る。この天文学的な数字だけが独り歩きし、「奇抜なデザインのために莫大な税金が浪費された」という言説が定着した。
しかし、支出の内訳を冷静に精査すると異なる実態が浮かび上がる。巨額費用の9割以上を占めたのは、日量約900トンという膨大な汚泥を処理するための超高温溶融炉、地下配管網、最先端の高度脱臭装置といった超大型プラント設備費である。フンデルトヴァッサー側に支払われたデザイン料や基本監修費は約1億数千万円であり、総事業費全体から見れば0.2%に満たない数値であった。
隣接する清掃工場と合わせた施設スペックや費用対効果について、公的記録を基に比較・検証したデータが以下の表である。
問題の本質は、デザイン費用の多寡そのものよりも、バブル崩壊後の急激な税収減と五輪誘致の頓挫というタイミングで、隣接する清掃工場と合わせて「1200億円超もの公費が舞洲の人工島に注ぎ込まれた」という財政的インパクトにあった。過度な装飾が結果として施設の維持補修コストを押し上げる一因となったことは否めず、市民感情としての「税金の無駄」という反発を招く決定打となった。